【新・関西笑談】最高のウイスキーを求めて(2)(産経新聞)

 □サントリーチーフブレンダー 輿水精一さん

 ■酒好きで意欲あれば良し 感覚保つ生活は自然にできます。

 −−ブレンダーの仕事内容を教えてください

 輿水 さまざまな原酒をブレンドして味を一定に保ったり、新しい商品を生み出したりする以外に、重要な仕事として原酒の熟成状況をチェックがあります。蒸留した原酒は5年、10年と樽(たる)で寝かせて熟成させるのですが、常に状態を確認しながら、熟成のピークを逃さないよう注意しないといけません。

 −−熟成のピークとはどのような状態をいうのですか

 輿水 もともとの蒸留酒の味わいと、樽に使っている木の味わいのバランスがとれている状態です。全社で約100万個の樽がありますが、すべて違う原酒ができます。一つひとつをしっかりと確認しながら、「山崎12年」に適した原酒、もっと熟成させて「響30年」で使いたい原酒といったぐあいに評価していくのです。

 −−失敗に終わる原酒もあるのですか

 輿水 バランスを崩している原酒も少なからずあります。ところが、こういった原酒も、バランスのとれた原酒に少量加えることで深みのある個性的な味わいを出すことがあります。すべてが優等生でもだめだということです。

 −−人間社会にも通じるお話ですね。ところで、テイスティングの感覚を保つため、昼食も毎日同じものを食べていらっしゃるとか

 輿水 原酒の品質を確かめる作業は繊細さが要求されるので、評価する側の自分を常に一定の状態に保つ必要があります。このため、味覚や嗅覚(きゆうかく)を乱さないように注意しないといけません。毎日同じ時間に出社しますし、午後10時以降はほとんど酒を飲まないようにしています。風邪にも人一倍気を使いますね。ただ、このような禁欲的な生活は、意図的にそうしたというより、作業を続けていくなかで、自然とできあがっていった感じですね。

 −−ブレンダーはだれでもできるという仕事ではありませんね。どのような人が向いているのですか

 輿水 鼻や舌先の感度が高くないといけないといった制約はあるにはありますが、酒が好きで、「おいしいものを作ってやる」という意欲があれば大丈夫ですよ。技術を高めるための向上心を持ち、継続的な努力を続けていけばいいブレンダーになれます。しかし、新商品をつくるとなると、それなりのセンスも必要で、これは教えるのが難しい。

 −−原酒の組み合わせは無限にあると思います。おいしいウイスキーの条件はありますか

 輿水 ウイスキーの味はたるに寝かせ、長い時間をかけることによって初めてつくられます。このため、おいしさを求めると、どれだけいい樽を使うかに行き着きます。ですから、樽に使う木も自分で選んでいます。

 −−樽に適した木があるわけですね

 輿水 はい。まっすぐにそろった木目でないと液漏れの恐れがあるので、直立に生えている木でないとだめです。また、直径80センチ程度は必要なため、樹齢が100〜200年必要。国産のミズナラを使いたくて、自分の足で木を探しにいくようにしていますが、この条件に適したミズナラは北海道と青森県の一部ぐらいでしょうか。環境保護も考えながらの樽づくりになっています。(聞き手 藤原直樹)

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